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強いといえる。しかし、中学校では、移行を思う教員の方が上回っている。運動部顧問教員だけをみても存続=47.3%、移行=51.8%となっており、移行を肯定する意見が多いことは事実である。
運動部活動の意義や、子どもたちの無限の可能性を引き出すため、生徒とともに汗を流し、ともに喜び合うやりがいを深く感じながら、多忙さに追われるなどの問題に有効な解決の手が打たれていない中学校の実態を直視しなければならないだろう。
原因を正しく分析し、対応についても考えておかねばならない。
例えば、指導者不足は以前から言われてきたことであるが、この原因も「自己の運動経験の足りなさから顧問を引き受けたがらない」という理由だけではなく、「技術的に非常に高度になった指導には自信がなく、できない」とか「時間を超越した指導や、日曜日や休日もすべて返上して指導しなければ、どんな小さな試合でも、勝つ満足を与えてやることができないし、不熱心のレッテルを張られかねない」という一部最近の部活動の持つ雰囲気に対する消極的反発ともみられ、理解できる点でもある。
・「価値観の多様化・生徒たちの部活への意欲低下・親の部活への期待の低下」
・「掌校教員の中の指導者不足=教員自らの経験不足から指導を嫌う教員、技術的に高度になり過ぎ指導できない」
・「学校週5日制の実施により学校教育活動にゆとりがなくなり部活は、社会体育でお願いしたい」
・「学校は多忙で部活指導までは手が回らない」
・「国体やオリンピックなどの選手養成は社会体育で行われるべき」
・「選手養成と競技力向上は、目的と結果が逆転してしまったのではないか」
等が上げられているのに多忙感の解消も適切な措置がされず、部活指導はボランティア、やって当然、ねぎらいの言葉も、報いられることも少ない教員には、「部活動が学校から無くなれば学校教育にゆとりが生まれ、充実するという短絡的な錯覚」が生じており、多くの学校や教員の中にその考えが助長されているのではないかとも思われるのである。また、そのような空気の中で、「早く部活動が学校の手を離れて、他(例えば、社会体育)で引き受けてもらえないか」というような消極的な教育の方向を生み出す原因を作り出してはいなかったか、熱心な部活指導者を自認する教員も、我々中体連関係者も、自らも正してみなければならないだろう。
戦後、50年間、中体連とともに、中学生の教育の一翼をになってきた部活動が、諸種の事情で多少の負担を強いているかも知れないが、学校週5日制の完全実施に合わせて行事活動が縮減され、その上、中学校から、部活動が消え、中学生の大会が消えたら、果たして、人生でおそらく一番純粋で、熱く燃えるものを持っている中学生に何を与え、学校は、何を活力として生徒を生かしていけるのか、真剣に考えねばなるまい。
今部活動を論議するとき、私たちは、部活動が、「中学校教育に必要な教育活動であるとするか、否か。」の原点から出直し、内容・方法・方向など、問題や課題となるものにどう対処するのかを考えなければないだろう。
1. 話題となっている問題の整理
本県の調査自由記述調査から指摘されている問題を整理してみると、
1) 学校と部活動部活必要論
・学校全体を活性化させるためにも部活動の取り組みは大切である。
・教職員の負担は、当然大きいものがあるが、生徒とともに汗を流し、目標に向かって歩む中で、生徒や保護者との信頼関係を深め、生徒指導や学級指導など相互相乗的な効果を持った活動である。
・特に生徒指導上、重要なもので、欠かせないものである。
・問題はおおく指摘されているが、まだまだ教育的価値の高さが認められる。教師と生徒が一緒に活動できることや、学年や学級を越えて、日常的に生徒間、生徒と教師間の交わりができる活動は、部活動しかない。
・生徒会活動とは異なる価値や、勝るものも多く生徒会活動で代替できる性質のものではない。

 

 

 

 

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